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Category: ふるさと【東北・青森】 > 五所川原市   Tags: つがるみち  

太宰治のまち3「続・雲祥寺」ーつがるみち69

 【六つ七つになると思ひ出もはつきりしてゐる。私がたけといふ女中から本を読むことを教へられ、二人で様々の本を読み合つた。たけは私の教育に夢中であつた。私は病身だつたので、寝ながらたくさんの本を読んだ。読む本がなくなれば、たけは村の日曜学校などから子供の本をどしどし借りて来て私に読ませた。】 ー 太宰の小説『思ひ出』や『津軽』に登場する「子守のタケ」は、越野タケさんという方で、その実家は雲祥寺の近くにあったため、広い境内は彼女の小さい頃の遊び場でした。そんなこともあり、タケは幼い太宰を連れて、たびたびこのお寺を訪ねたといわれています

雲祥寺山門


 雲祥寺は山号「金木山」を称する曹洞宗のお寺で、由来によると、その創建は慶長元年(1596年)、「九戸の乱」を逃れ、津軽地方に至った南部櫛引村領主・武田甚三郎が一緒に逃れてきた腹心の繁翁茂和尚と共に一寺を建立したのが始まりとされています。
 この武田家はこの地に土着し、後に津軽藩を経済的に支えた「金木屋」となりますが、現在の山門は、その金木屋が亨和三年(1803年)に寄進したものです。因みに、町名「金木町」はこの屋号(金木屋)から生まれたともいわれています。
 山門の上の方に鐘楼堂
鐘楼堂
が乗っている姿はとても特徴があります。両脇には迫力満点の仁王像。
仁王像
そして、その由緒を示すように、一対の武田菱の寺紋
武田菱の寺紋
が刻まれていました。

雲祥寺本堂


 本堂は青森特産の銘木である総ヒバ造りで、どっしりとした風格のある建物です。
 この本堂の前に一本の「老松」
境内の老松
が立っています(寝そべっているというべきか)。樹齢500年以上といわれるこの老木は、雲祥寺創建以前からここにあったものとされていますが、私にはその姿形が大蛇(龍)のようにも見えました。太宰とタケもまた、この老松を見ていたのでしょうか。。

雲祥寺祭壇


 本堂の祭壇中央には「聖諦第一義(しょうたいだいいちぎ)」と記された額が掲げられていました。(にわか勉強ですが)「聖諦第一義」とは、「根本の真理」を表す仏教用語だということで、達磨大師にまつわる故事が残されています。
ー 昔、熱心な仏教信者であった梁の武帝は、中国へ禅の教えを伝えにやって来た達磨大師と会見し、「自分が為してきたこと(寺院の建立、仏典の写経、高僧の供養など)にはどんな功徳があるか」と問うたとき、達磨は「無功徳(ご利益なんか何にもない)」と答えたとされ、次いで「聖諦第一義とは如何」という質問には、「廓然無聖(かくねんむしょう)・・そういう尊いものなど何処にもない」と応じたのだとか。。

 太宰がこの「聖諦第一義」という言葉をどのようにとらえていたのかは分かりませんが、本堂の中には自筆と思われる色紙
色紙・聖諦第一義
も飾られていました。お寺からお願いして書いてもらったものでしょうか。

 再び『思ひ出』から・・【たけは又、私に道徳を教へた。お寺へ屡々連れて行つて、地獄極楽の御絵掛地を見せて説明した。火を放(つ)けた人は赤い火のめらめら燃えてゐる籠を背負はされ、めかけ持つた人は二つの首のある青い蛇にからだを巻かれて、せつながつてゐた。血の池や、針の山や、無間奈落といふ白い煙のたちこめた底知れぬ深い穴や、到るところで、蒼白く痩せたひとたちが口を小さくあけて泣き叫んでゐた。嘘を吐けば地獄へ行つてこのやうに鬼のために舌を抜かれるのだ、と聞かされたときには恐ろしくて泣き出した。】

 太宰が「恐ろしくて泣き出した」ものは寺宝の「十王曼陀羅」
「十王曼陀羅」
という地獄絵で、作者は不明ながらも、江戸初期の終わりか中期の初め頃のものとされています。全て金箔が用いられているため、現在でも絵柄ははっきりしていて、近づいてみるとその迫力に圧倒されます。
十王曼陀羅巻一
太宰が『思ひ出』によって紹介して以来、見学者も増えたとのことです。

 雲祥寺は、幼い頃の太宰の思い出(タケとの思い出)がいっぱい詰まったお寺でした。後年、太宰はこの「母のように慕っていた」タケと小泊村で30年ぶりに再会しますが、その様子は小説『津軽』に生き生きと描かれています。
 現在はそこ(北津軽郡中泊町小泊)に、小説「津軽」の像記念館があり、太宰とタケの再会の場面
太宰とタケ
を描いた像が建てられています。

                               ☆つがるみち☆ 

◇この一年間、拙いブログを訪れていただいた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。皆様よいお年をお迎えください。 

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大晦日 
korekaradaさん、今晩は
いつも楽しみに拝見させて頂いてます。先日、黒石に用事があり行って来ました。楽しい帰省なら良かったのですが、
来年もブログ更新を楽しみにしています。

良いお年をお迎え下さい
 
今年一年お世話になりました。
来年もよろしくお願い申し上げます。

korekaradaさんとご家族様のご健康をお祈り申し上げます。
良いお年をお迎えください。
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 しばらく記事を更新しないままに八月になってしまいました。。ゆっくりペースで神社・史跡めぐりを続けたいと思います。拙い記事ばかりですが、読んでいただければ幸いです。ごゆっくりどうぞ!
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