津軽の北斗七星「大星神社1」ーつがるみち117

津軽地方の七つの神社を線で結ぶと、北斗七星の形になる・・という伝説?があります。即ち、
1大星神社(青森市)
2浪岡八幡宮(青森市)
3猿賀神社(平川市)
4熊野奥照社(弘前市)
5岩木山神社(弘前市)
6鹿島神社(西目屋村)
7乳井神社(弘前市)
の七つの社を結ぶと、地図上に巨大な「北斗七星」が姿を現すという分けです。
※上の画像の「神社名」をクリックして、それぞれの神社の鳥居をご覧ください。
この伝説は、「津軽の北斗信仰」などと呼ばれていますが、桓武天皇の命を受けた坂上田村麻呂が、平安京から見て「鬼門」にあたる津軽の地に七つの神社を造り、北斗七星の形に配列したものといわれています。
【津軽地方は王城の鬼門にあたることにより、古くから鬼神の蜂起が発生して庶民をおびやかすことがあったという。そこで津軽の阿姿羅というところに千坊の寺を建てて鬼神を平定し、国土擁護秘法を修した。ところが鬼神の横行は一向にやまなかった。そこで桓武天皇の時代に、命を受けた田村麻呂は平定した津軽に七つの社を建て、そこに武器を遺棄して、あたかも田村麻呂将軍がこの地に常駐するかのごとくに見せかけることにした。田村麻呂はその際、七社を北斗七星の形に配し、星の威光を借りて鬼神を封じたという。 ※荒俣博『歌枕謎解きの旅』 】

この津軽の北斗信仰が伝わる七つの神社を順番に巡ってみることにしました。私は、まず、青森市の問屋町にある大星神社を訪ねました。
道路沿いに大きな石造りの鳥居が立っていて、そのそばに、この神社が有している青森市の有形文化財 が紹介されています。そのひとつが舞楽面 で、全部で九面が、この神社の所蔵となっています。
これらの古面 は、【地方に伝来したものとしては作風が極めて優れ、勇壮豪快で力強い表現は東北地方の最優作と考えられ、中世の面として全国的にも注目される存在である。地方の作と考えられるが、様式的には都ぶりの正統的な表現の系譜に属している。
また、比較的多数の面がまとまって伝来しているため、これらを用いて七曲の舞楽が演じられていたことが判明することから、彫刻としてだけでなく青森県の芸能史を考える上でも重要な資料である。※青森県HP「観光・文化・教育」より 】とされています。

この文化財の説明板の隣に、「鬼面伝説」として、次のような話が書かれていました。
【桓武天皇は、坂上田村麿を征夷大将軍に任じ、陸奥へと攻め入った。この「蝦夷征伐」に対し、津軽の地で徹底抗戦したのが、糠檀の嶽(八甲田山) の女酉長・阿屋須(おやす)と弟・雲谷(もや)の頓慶(とんけい)である。胡笳(こさ)という草笛を吹き鳴らしては、あたりに不思議な濃霧を広げ、毒矢を射返すという、神出鬼没な二人の反撃はおおいに田村麿を悩ませた。しかし、田村麿は北天に悪鬼退散の祈願をして寝たその夜、夢枕に北斗七星が現れて七枚の鬼面を授かる事になった。そして、この面をもっての攻撃には、さしもの阿屋須も、討ち取られてしまう。阿屋須なきあと、一人頑強に潜伏し戦い続けた頓慶も、七鬼面の軍に攻めたてられ、抗戦むなしくついに力尽きてしまった。】
ー ここでは、田村麻呂に頑強に抵抗した女酉長とその弟の話とともに、北斗七星と古面との関わりが紹介されています。

田村麻呂は、蝦夷平定の後、この鬼面を納めて「妙見社」を建立し、崇め奉ったとされていますが、その「妙見社」が、現在の大星神社であり、宝物として残されている古面は、この時の田村麻呂ゆかりのものとして今に伝えられている分けです。
なお田村麻呂軍を苦しめ続けた阿屋須と頓慶の勇壮な物語とその勇姿は、青森ねぶた にも取り上げられ、郷土に残された伝説を今に伝えています。
ー 次回へ続きます。
☆つがるみち☆
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