深持如来堂ーみちのくあれこれ4


先日、県道40号線沿いに建つ八甲田雪中行軍七勇士の碑を訪ねたときに、増沢方面へ向かってもう少し車を走らせてみましたが、その途中、白い鳥居と赤い鳥居が立っている場所を見つけました。後で地図を見てみたら、一帯は、十和田市深持如来堂という地区であることが分かりました。

「如来堂(にょらいどう)は、釈迦如来や大日如来などの如来を本尊とする仏堂の呼称、及びそこから派生した地名である。※wikipediaより」とありますが、ここもまたそのひとつだと思われます。
まずは、七勇士の石碑から近い白い鳥居の神社へ行ってみました。道路沿いの森の中にあるため目立たず、ついつい見過ごしてしまいそうな社です。

鳥居の前に立つと、その奥に赤い屋根の建物が立っているのが見えます。道路際の樹木にさえぎられて境内の中は見えないのですが、入ってみるとそこは思った以上に広い場所で、用水路が流れており、その後ろに社殿がポツンと立っていました。社殿の屋根の下には、「如来観音神社」「御蒼前神社」という二つの社号が並んで掲げられています。
如来観音神社は「如来堂」という地名の由緒となった社だと思いますが、あわせて「蒼前様」を祀っているのは、いかにも蒼前信仰が根強く残っている県南地方らしいところです。社殿の中には、二つの祠が並んで置かれていました。
境内の周りは細い杉の木立で囲まれていますが、その中に、とりわけ背の高いカツラの木が二本あります。一本は、社殿の真後ろに立っているカツラで、 社殿を見守るようにそびえています。もう一本は、用水路の手前に立っていますが、こちらはいかにも古木を思わせる形の良いカツラの木です。
そして、同じく用水路の手前(向かって左側)には、イチョウの巨木があります。
「深持のイチョウ」として知られているこのイチョウの木は、樹高22m、幹回り8.8m、樹齢がおよそ400年という堂々たる古木で、近づいて見ると、その大きさを実感できます。 - 青森県では特に鯵ヶ沢・深浦地区が、大イチョウをはじめとする巨木の宝庫とされていますが、十和田市も名木・巨木がたくさんある所で、深持のイチョウもそのひとつです。
◇境内のカツラと深持のイチョウ





如来観音神社を過ぎて、もう少し車を走らせると今度は赤い鳥居が見えてきました。近くのお店で聞いたところ、そこは「如来様(如来堂)だ」ということでした。
ここもまた、道路沿いに小さな鳥居があるだけで、その奥は見えませんが、橋を渡り、鳥居をくぐると、石段の上に小さな祠がありました。ここに如来観音が祀られているのでしょう。
道路から見ただけでは想像もつきませんが、そこは、急な崖になっていて、大岩があり、その岩を割るように、大きな木の根が縦横に延びています。そばには小さな滝も流れており、辺りの木の形などを見ると、ちょっとした異界に来たような感じです。道路沿いにこんな神々しい場所が隠れているとはびっくりです。村の人々にとって「神様の宿る場所」として崇められてきたのでしょうか。岩場の真ん中に立つ小さな祠がとても印象的でした。
◇如来様(如来堂)





この如来堂地区からは少し離れていますが、同じく十和田市深持に「梅」という集落があります。昔、戦いに敗れた落ち武者達が住み着いたという伝説が残る村で、「落人の里」とも呼ばれています。
八甲田山系の伏流水が湧き出す清水は「カドの水」と呼ばれ、名水のひとつにあげられていますが、集落の入口にカヤで作られた人形が立てられています(実際に行ってみたわけではありませんが)。
【「カヤ人形」は悪魔の部落への進入を防止するため日夜警戒していると伝えられ、また、天明の飢饉のとき集落に妖魔を入れないため、人の代わりに立てたのが始まりとも言われている。村の東口にあるしめ縄は、悪霊などの侵入を防ぐ信仰に培われているそうだ。※HP「あおもり湧水サーベイ」より】
如来堂、そして落人の里など、県道40号線沿いの深持地区は、興味深い歴史と風習が残る地域です。
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☆みちのくあれこれ☆
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